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エリオット波動理論

1. ラルフ・ネルソン・エリオット

ラルフ・ネルソン・エリオットは、1871年~1948まで存命し、もともとは会計士でした。病に倒れて仕事が続けられなくなったことを機会に、投資家への道を歩み始めています。観察力に秀でた人物で、エリオット波動理論は、彼が見出したパターン認識に基づいたものといえます。しかし、その波動は、相場にしか現れない特殊なものではなく、人間界のみならず、自然界に存在するさまざまな現象と、同一の性質をもつと強く確信していたようです。

エリオットの死後、、その理論を発展させたフロストとプレクターは、1980年代の強気相場を見事に言い当てており、エリオット波動理論が、他のテクニカル分析のように後追いでトレンドを確認するものではなく、未来を予見するための理論でもあることを主張するに足る成果をあげたといいます。

エリオット波動理論の適合範囲は株式にとどまらず、債券、為替、商品などすべての相場に及ぶとされています。それはエリオットが見出した波動が、彼もまた追究した黄金分割やフィボナッチ数などとともに、自然界に存在する不思議な秩序を、人間の行動や心理にも当てはめたものだからといえるでしょう。

2. サイクル=5波+3波

エリオット波動理論は、基本的な解釈ルールは単純なのですが、イレギュラーケースを容認する理論となっていますので、深入りするほど、解釈が難しくなっていきます。ここでは基本的なパターンについて説明します。

実際にチャートに当てはめて説明します。まずは黄色の上昇波動ですが、押し目を2度作って頂点に達しています。エリオット波動理論における上昇相場とは、この形が基本となります。ジグザグを数えると全部で5つの小さなトレンドによって成されていることがわかりますが、これらを第1波、第2波、…第5波、と呼んでいます。

一方、下落波動では一度の戻りを示して急落しています。これもエリオット波動理論でいうところの、下落相場の基本形となります。こちらはジグザグの数が3つとなり、上から順番にA波、B波、C波と呼びます。


(C)ゴールデン・チャート社 GC HELLO TREND MASTER(R)

上昇トレンドの場合は、3つの衝撃波(上昇)と2つの修正波(下落)によって構成され、
下降トレンドの場合は、2つの衝撃波(下降)と1つの修正波(上昇)によって構成されるといいます。

また、それぞれの波動の中に、同じく小さな波動が存在する、という構図になっていて、ズームアップしても、ズームアウトしても、相場にはその時間軸に見合った波動が存在するとされています。

3. 上昇相場における波動の特徴

次のチャートも見事に5段階による上昇波動をみせています。では、それら1つ1つの波の特徴について確認しておきます。下から順に第1波、第2波と数えます。


(C)ゴールデン・チャート社 GC HELLO TREND MASTER(R)

■ 第1波
下落相場の終焉直後という段階になりますので、それまで売ってきた投資家が買い戻したり、目先の早い投資家が打診買いを進めるなどといった局面です。ここで買う投資家たちは、いざとなったら即逃げるという体制にありますので、株価等の伸びが悪くなるとすぐに売りに転じます。市場にはまだ悲観的なムードが漂っているはずです。

■ 第2波
第1波を、下落相場の中の単なる戻りに過ぎないと確信して、売り方の活気が戻る場面です。せっかく上昇した相場も、元の木阿弥というくらいに下げてしまうこともあります。もちろん、上昇トレンドであれば、下値を割ることはありません。逆説的ではありますが、それによって上昇波動が開始されたことを確認できます。なお、市場は再び下落したことから、総じて弱気な雰囲気に包まれたままです。

■ 第3波
下値を割ることなく切り返し、第2波の上値を超えてくるあたりから、市場も強気に移り変わります。投資家がこぞって上昇を確信し、買いが買いを呼ぶことになります。第3波は他の波よりも長く(強く)上昇を続けることが多いとされ、ここでの買い参戦は、通常よりもリスクが低いという解説がまかり通るほどです。

■ 第4波
上のチャートでは第4波は、ややトライアングルもしくはペナントのような形となっていますが、それこそが第4波の特徴であるともいえます。単純な調整波ではなく、やや複雑で読み取りにくい形となりやすいといわれます。時折、第3波の高値を超えて揉み合うような調整すら起こり得るため、第5波突入と勘違いしてしまうこともあります。

■ 第5波
ここまでくると、かなりの強気が市場に蔓延します。「相場は楽観のうちに終わる」の格言通り、束の間の高揚感の中でピークアウトを迎えます。もちろんファンダメンタルは悪化の兆しを見せていることも多く、それをものともしない強気があってこその、最後の急伸であり、ピークアウトなのでしょう。セリングクライマックスの反対、バイイングクライマックスともいうべき大相場が出来上がることも、稀に存在するようです。

4. 下降相場における波動の特徴

次のチャートをご覧いただくと、3段階による下降波動が確認できます。それら1つ1つの波の特徴について確認しておきます。上から順にA波、B波、C波と数えます。


(C)ゴールデン・チャート社 GC HELLO TREND MASTER(R)

■ A波
上昇相場でいう第1波と同じく、それまでのトレンドを引きずった投資家が多いため、市場は強気であり、相場も上昇トレンドの中の押し目であると認識されることが多い。ただし、エリオットの上昇波動が5波であることを知っていれば、この局面が下降相場のA波であるかもしれないことを、事前に警戒することは容易です。
■ B波
戻り局面を上昇相場の再開と見る向きも多く、まだ前トレンドの空気を背負ったままでいる投資家が多い。このB波にはくせがあり、場合によっては第5波の高値を上回るほどの戻りを見せることがあります。にも関わらず上昇相場が終焉していると断するには、かなりのエリオット習熟度が求められます。
■ C波
壊滅的なまでに急降下を演じることの多い場面です。いわゆる投げ売りがはじめると、雪崩のように下落していきます。買いはじっくりと、売りはスピーディに展開するという定説にも頷けます。ファンダメンタルも悪化しており、市場は弱気一色となり、そしてやがて、第1波を迎えます。このC波を含む波動がわかりにくいことの1つとして、C波のボトムが、A波のボトムを割りこまないケースがあるという点が挙げられます。
エリオット波動理論の解釈の仕方として、波があるかどうか、が重要なのであって、高値を抜けた、下値を割った、ということが波を定義するわけではないことは、注意しておくべき点です。

5. 効率的なエリオットの活用法

エリオット波動理論は、イレギュラーなチャートの形状までをも分析してトレードに活かそうとすると、その複雑怪奇さから、解釈違いや時間のロスを生みだし、結果を伴わない可能性があることから、深入りはお勧めしません。ただし、単純なルール、パターンだけでも覚えておくと、重宝する場合が多いことに気づくでしょう。ここでは、上昇波動について、そのシンプルに削ぎ落したルールを紹介しておきます。
1.どの波動も値幅は同じになる。
2.波動が延長される場合は黄金比である1.618倍に伸びる。
3.第3波が最も延長しやすい。
4.第1波と第4波は離れていて重ならない。
5.第4波と第5波は比較的わかりにくい形が出やすい。
6.第5波が、第3波の高値を抜くとは限らない。
7.2つの修正波(第2波と第4波)は同じ形にならない。
以上がエリオット波動の大まかな解釈です。
断言しているものもありますが、それに近い状態、あるいはそうはならないケースも当然多く出現します。あくまで基本形であると捉えてください。
さて、これらのルールの中から、トレードに役立つものがどれかと考えてみると、「3.」が重要であることがわかります。波動が延長するということは、長い間上昇することを示しています。トレンドに乗って大きな利益を追求するためには、この第3波をしっかりと捉えることが大切になってきます。つまり、第1波の高値を第3波が越えたあたりではポジションを取るということです。
では次のチャートはどのように捉えることができるでしょう。

第1波で1万円を超えて、いったん修正波が出て9050円へ下落、そして第3波が第1波の高値を超えたところ、という解釈が可能です。ただし、最後の足はまだ確定していない週足ですので、もう1日待ってから判断してもよさそうです。
また、第1波の中をつぶさに観察すると、この上昇波動の中に小さな5波が存在していることがわかります。また、修正波である第2波も、細かな3波にわかれていることが見て取れます。大きな波動の中には、小さな波動が存在し、上昇5波、下降3波のパターンを繰り返すというのが、エリオット波動の基本形なのです。